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風水と間取り、どう付き合う?今どきの家づくりの考え方

風水と間取り、どう付き合う?今どきの家づくりの考え方

家づくりの打ち合わせで「風水って取り入れた方がいいんですか?」というご質問をいただくことがあります。風水には、気の流れや方角を整えることで運気を高めようという考え方があり、気になる方にとっては大事なテーマかもしれません。

とはいえ、設計士の立場からすると、風水をすべて間取りに取り入れるのは現実的にはかなり難しいのが正直なところです。というのも、土地の形状や日当たり、周辺環境によって、どうしても優先すべき条件が変わってくるからです。

 

最近では、地球温暖化などの気候変動の影響もあり、パッシブデザインという設計手法が注目されています。これは、太陽の光や風といった自然エネルギーを活かして、快適で省エネな暮らしを実現する考え方。南向きの窓で冬の日差しを取り込み、夏は庇で日射を遮る——こうした工夫こそ、今の時代に合った「理にかなった間取り」だと私たちは考えています。

また、日々の暮らしで大切なのは、やっぱり「家事が楽なこと」。動線がスムーズで、片付けやすく、家族みんなが自然に協力できるような間取りこそが、長く快適に暮らせる家の基本です。風水を意識しすぎるあまり、動きづらくなったり、日当たりや通風が悪くなっては本末転倒です。

それでも「最低限の風水は取り入れたい」という方もいるでしょう。そんなときは、超基本だけおさえておけば十分です。たとえば、玄関は明るく清潔に、寝室は落ち着いた配色に、トイレはこまめに掃除する——これらは風水的にも◎であり、誰にとっても快適な空間づくりにつながります。

 

大切なのは、風水にとらわれすぎず、必要なところだけ無理のない範囲で取り入れること。そして、自分たちにとって本当に住みやすい家を、設計士と相談しながら一緒に作っていくことです。

「ほどよく風水、しっかり暮らしやすさ」。そのくらいの距離感で、バランスの良い家づくりを目指していきましょう。